愛媛大学合唱団のために2021年の秋に作曲。同年12月18日、同合唱団第67回定期演奏会において初演された。
本来、私は同合唱団から組曲の依頼を受けていた。学生指揮者のM君の、合唱にかける情熱と意気込みは大変なもので、私はその情熱に少しでも応えようと、組曲の作曲を心から楽しみにしていたのである。
しかし、新型コロナ感染症の蔓延により、この合唱団は、大学からの通達でまともに練習ができなくなってしまった。やる気に満ちたM君は、運悪くほとんどの本番が中止になってしまったのではないだろうか。本当に可哀想である。
そんな折、M君から「組曲を練習する時間はなくなってしまった。しかし僕達のために愛唱歌を一曲書いていただけませんか」と相談が来た。もちろん、即答でお受けした。泣いているきみ。その「きみ」は、コロナで大好きな音楽ができなくなってしまった、すべての大学生である。少なくとも私はそうイメージし、作曲した。谷川さんの詩にあるように、
『哀しみはいつもどこにでもあって/それはいつか必ず歓びへと溶けていく』
そう、この哀しみは、いつか歓びへ変わるんだ、と、そう思いながら歌ってほしい曲である。大学生のみならず、このコロナ禍の中で悔しい思いをしている、すべての合唱人に捧げる一曲である。
改めて、この曲を書かせてくださった愛媛大学合唱団の皆さん、そして、M君、ありがとう。友情と愛を込めて。
製本版とデジタルスコア版(ダウンロード版)の2種類あります。以下でどちらかを選択して下さい。
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作曲者: 松下耕 作詩者:谷川俊太郎 声部: SATB 伴奏: アカペラ 言語: 日本語 演奏時間: 4’10” ページ数: 12
【演奏動画】