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夢と希望・愛と祈りの曼荼羅宇宙、“千原ワールド”が詰まった作品をご紹介

2022年11月に開催されたJCDA教会コンサート初演が行われた作品です。日本人の作曲家として、日本のメロディーを用いたモテットを、という千原先生の思いから生まれたこの曲は、なんと「ソーラン節」の旋律が用いられています。

 

 

作曲者より
NORAD : 北アメリカ航空宇宙防衛司令部発表—サンタクロースはフィンランドを発ち、北極圏を越え、ベーリング海を越え、現在カムチャッカ上空をTokyoに向けて飛行中!

 パロディーミサというものがある。ルネッサンス時代に多く書かれた民謡や流行歌をメロディーに用いたミサ曲だ。厳粛な神の言葉もおらが村の自慢のフシや町のはやり歌で歌われるとき、ああ、神様も私たちと同じ心でいらっしゃる、私たちのために共に歌い、踊り、笑い、泣いてくださる、喜びやかなしみに寄り添ってくださる、と親近感が込み上げてきたに違いない。私は日本人の作曲家である。ならば自国のメロディーを取り上げてモテットを書きたいと思うのだ。

 Hodie Christus natus est. はクリスマスを天使と賢者が喜び合う歌だ。私はここにサンタクロースを加えたいと思った。日本を目指すサンタクロースは子供達へのプレゼントを満載した橇に乗って、カナダの凍った島々を、アラスカを、ベーリング海峡を通過し、カムチャッカ上空で進路を南に切る。そしていよいよ見えてくるのは北海道である。北海道といえばソーラン節である。はるばる来たぜ北海道、とのサンタクロースの喜びをソーラン節にのせて作曲した。

アンコール・ピースとして作曲されたこの作品は、みなづきみのりさんによる詩。食いしん坊のサンタさんが食べすぎて配達に向かったら…という楽しい物語。 大人〜子どもまで全ての世代におすすめの作品です。

 

作曲者より

みなづきみのりさん曰く”合唱狂言”という新ジャンル〜ヴォーカル・エンターテイメント『サンタクロースの巻』〜のアンコール曲として書いたものですが、初演当日はこの狂言の幕開き前の序曲として、即席に観客の全員合唱で歌われました。

さっと譜読みができて、大人も子供も一緒に楽しく歌えるピースです。

2022年、「松下 耕と世界—今を生きる作曲ための群像」コンサートのために書きおろされた作品。

2024年、ついにミサが完成!

作曲者より

天正遣欧使節 (1582-90) の少年たち“ クアトロ・ラガッツィ” の栄光と悲運の物語をミサ曲の中に描き込んでいきたいと作曲しました。 Gloria, Sanctus, Agnus Deiと書き進められる予定ですが、物語の皮切りの Kyrieは大河ドラマのオープニング曲をイメージしています。
途中挿入の Mille regrets “ 千々の悲しみ ” (原曲はジョスカン・デ・プレ)は少年たちが帰国後に豊臣秀吉の面前で演奏したと推察される曲です。

I. Kyrie 一千六百十二年の長崎、伊東マンショの回想。
“ 私には夢と希望と信念に燃えた青春の日々があった。されどその思い出は心安らかに訪れ来るのではない。国外へ追放された同胞たち、弾圧のため 棄教していった信者たちへの思いに、激しい心の痛みを伴ってやって来るのだ。
あの晴れた船出の日、大海原をいくつも越え、異郷の港の賑わいを、石造りの街を、壮麗な教会を想って胸はときめいていた。
ああ、あの日、 我ら四人は永遠の愛と信仰を、そして友情を誓い合ったのだ!”