この合唱曲は、ある町に捧げられたものです—望郷の念、感情、そして感傷すら込めて。なぜなら私にとって、とても大切な町だからです。( 楽しい思い出のある美しい場所や、行ったことはないけれどずっと行きたいと思っているさらに美しい場所を思い浮かべれば、私の言いたいことがわかるでしょう…) 中世フランスの修道士イルデベール・デ・ラヴァルダン(1055-1133)は、“Alpha et Omega, Magne Deus”という力強い賛美歌の中で、天国が彼の想像の中でどのようにあるかを描写しています—美しくやさしい場所、「永遠の栄華と永遠の平和」の町。これは非常に興味深いことです—持続的に輝く光と光沢のある宝石を除けば、彼の夢の中では、いたってふつうの、うららかで、心地の良い中世の町が見えていたのです。(このような深い感激と、情熱は、詩人の愛した故郷の町によるものだと考えても間違いではないだろうと思います。) 中世に作られ、城壁で囲まれ、中央には高い城がある—そんな町が世界にはたくさんあります。私の町もその一つですが、宝石で作られたわけではないし、暗雲や闇が立ち込めた時代もありました。小さくても、住みやすく、愛すべき、そして良い時代をみてきたヨーロッパの町なのです—そしてそこから時間も距離も離れてみるとさらに輝いて美しく見えるのです。 その修道士によると、天空の町の住人は、「イエスと同じくらい」というのは大げさですが、立派だといいます。長い間故郷を離れているので、この数十年の間に、愛する町の人たちは生き方を改めてしまったのかもしれません。離れてみると美しく見えるものです—神に感謝。 そして、それでいいのです。これからも変わらずそうでありますように。私たちの記憶は気高く寛容であり続けるべきです。両親や祖母の住む町―学校に通い、初めて恋をした場所―で年老いることはめったにありません。もし記憶が時間と空間の中で、彼方より(de longinquo) ぼんやりと美化されるのであれば…。
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【演奏動画】