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ミサ “クアトロ・ラガッツィ”—旅の日の天正遣欧少年使節

作曲:千原 英喜
作曲者より

 16世紀の日本、安土桃山時代、キリスト教への信仰と興味が高まっていた時代、日本からヨーロッパに渡った少年たちがいた。西欧の王侯貴族に歓待され、ローマ教皇に謁見した少年たちがいた。彼らを “クアトロ・ラガッツィ” と言う。

 天正十年(1582年)、イエズス会宣教師ヴァニャーノの企画により、九州のキリシタン大名たちは名代として四人の少年をローマに派遣する。これが天正遣欧少年使節である。使節の目的は、第一に、西欧に日本の存在を知らせ、日本布教への理解と経済的援助を得ること。第二に、少年たちに西欧世界を目撃させ、その見聞によって日本布教を拡大させることであった。

 長崎を出帆し、マカオ、マラッカ、インド洋を行きコーチン、大西洋のセントヘレナ島を経由し、リスボンに上陸、地中海を通ってイタリア・ローマに至るという命がけの旅である。彼らの運命やいかに―。

   八年後に彼らが帰国した時、日本の情勢は大きく変わっていた。豊臣秀吉により伴天連追放令が出され、さらに徳川幕府の禁教令により、信者の国外追放と迫害の嵐が吹き荒れる。彼らの運命やいかに―。

 クアトロ・ラガッツィ=伊東マンショ、原マルチノ、中浦ジュリアン、千々石ミゲルが見たであろう旅の日の風景を、キリスト教世界での栄光のページェントを、歴史の暗転による悲劇の運命を描いてみたい、と作曲したのがこの作品である。

 テキストのセンテンスのひとつひとつに情感を込め、そこに遥か時の彼方のクアトロ・ラガッツィの夢を重ね、全5楽章一連の音楽ドラマを想定して曲を書き進めた。

製本版とデジタルスコア版(ダウンロード版)の2種類あります。以下でどちらかを選択して下さい。

説明

作曲者:千原英喜
声部:SATB
伴奏:アカペラ
言語:ラテン語
演奏時間:62’00”
(Kyrie 6’40″/Gloria 22’00”/Credo 8’00”/Sanctus 9’00”/Agnus Dei 12’30”)
ページ数:92

※初版限定特別装丁版です。
製本版のみ販売しております。