私は長い間、ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(c. 1098-1179)の創造性に敬服しています。そこで私は彼女の 2 つの詩 “Caritas abundat”と“O ignis Spiritus paracliti” からテキストを抜粋し、作曲しました。 この曲は 8 部の女声合唱のために書かれており、非常に明確な形式を持っています。 冒頭部と終結部では、「Caritas abundat in omnia.(愛は全てに宿り)」というテキストに力強く色彩豊かな和音がつけられています。続いて、舞踊の特徴を持ち、極めて技巧的な反復形式の部分が続きます。これは曲の中で 3 回繰り返されます。繰り返しの中で、基本主題は多くの模倣を伴ってポリフォニックに展開され、音楽は生き生きと次のテキストを反映しています。 聖霊パラクルートの火よ、 すべての創造物に宿る生命である、 形あるものに生命を与える聖なるもの。 繰り返されるリフレインの間に、2 つの対照的な部分が現れます。 1 つ目は、聖なる息と慈愛の炎について語られます。短いモチーフがゆっくりと柔らかな響きの和音に発展していきます。 2 つ目の部分は、私たちの生命に自然をもたらす聖霊について歌っています。 あなたから雲が生まれ、空気は舞い上がり、 石は水を含み 水は流れを生み 大地は汗を流して緑を育てる。 それぞれの旋律は雲、風、石、水などを描写し、コリ・スペッツァーティ (※) のスタイルで各声部間の対話が行われます。 基本的な音楽のアイデアは、遠い昔、中世からやってきたものですが、さまざまな作曲技法の助けによって、複雑な音の構造へと発展させることが出来るような気がします。このようにして、今もなお輝き続ける、素晴らしいテキストの作者である聖ヒルデガルトの時代と現代とにつながりを持たせたのです。
製本版とデジタルスコア版(ダウンロード版)の2種類あります。以下でどちらかを選択して下さい。
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【演奏動画】